『ストリートファイター』の生みの親、西山隆志氏が、ボクシングの権威ある雑誌『ザ・リング』とのコラボレーションによる全新作ボクシングゲームに参戦する。この発表は、2024年11月に同アメリカ雑誌を買収したサウジアラビア総合娯楽庁のトゥルキ・アラルシェイク議長の公式Xアカウントを通じて行われた。
タイトル未定の本作はオリジナルキャラクターをフィーチャーし、『ザ・リング』のボクシング界における権威と、西山氏自身が設立したディンプスのゲーム開発における豊かな歴史を融合させることを目指している。ディンプスは2025年1月にPlayStation Vitaの名作『フリーダムウォーズ』の現代的リマスター版をリリースしたばかり。アラルシェイク氏のツイートによると、ボクシングプロジェクトの開発は間もなく開始される予定だ。
伝説的な日本人ゲームデザイナー、西山隆志氏と共に、オリジナルキャラクターを登場させる『ザ・リング』提供のボクシングゲームの制作を発表できることを誇りに思います。
私と西山氏のこの戦略的提携は、比類なき権威を… pic.twitter.com/LRWyyZzkpz
— TURKI ALALSHIKH (@Turki_alalshikh) 2025年5月5日
サウジ王家は日本ゲーム業界への関与を強めており、2024年4月にはサウジ皇太子の基金が老舗ゲームスタジオSNKの全株式を取得したことが確認されている。『ザ・リング』はSNKの今秋発売予定『餓狼伝説:City of Wolves』のプロモーションにも関与しており、2025年4月26日にロンドンのトッテナム・ホットスパー・スタジアムで開催されたボクシングマッチコラボレーションも話題を呼んだ。
西山氏とSNKのゆかりは深く、1990年代に『餓狼伝説』シリーズを創造し、『メタルスラッグ』や『ザ・キング・オブ・ファイターズ』などの主要タイトルにも関与。今回の新プロジェクトは、ルール破りの格闘ゲームを数十年にわたって手掛けてきた鬼才デザイナーが、規則あるボクシングの世界に挑む注目のカムバックとなる。
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この報せに日本のゲームファンは興奮と好奇の入り混じった反応を示している。SNS上では「えっ?!! 絶対プレイしたい!」といった熱狂的な声から、ゲームの方向性に対する純粋な興味まで様々な反応が寄せられている。
『ストリートファイター』解説で知られるXユーザー@ryo_redcycloneは次のような示唆に富む見解を共有:「西山氏は初代『ストリートファイター』について『既存スポーツはルールに縛られるからストリートファイトを選んだ』と述べていました。今回はルールあるスポーツであるボクシングを題材にするということで、どのような仕上がりになるか興味深い」
ファンの関心事は、プロボクシングの厳格な構造が西山氏の独創性を制約するかどうかだ。氏の過去作はバロッグの「バッファローヘッド」のような現実のボクシングルールを明らかに無視したキャラクターや技で知られる。この新作が『ザ・リング』の伝統を尊重したリアリズム路線を取るか、それとも西山流の常識破りを見せるか。スポーツの真実性とアーケードゲームの革新性が織りなす独自の融合がどう展開するか、今から楽しみだ。